あらすじ
エムロード王立魔術学院は、魔術師の卵たちの学び舎だ。
生徒は通常の学問に加え、専門に特化した科のいずれかに所属する。
一番人気は戦闘科。
ほかには、召喚科、精霊科、錬金科、呪術科、心霊科などの科が存在する。
事件は、各科の年度予算を決める大会議室で起こった。
生活魔術科の予算――5カッド、お昼のランチ1人分。
戦闘科に予算のほとんどを奪われたのだ。
戦闘科は500人が所属する大所帯、実績も多くある。
片や生活魔術科の人数3人、目立った実績はない。
予算は決まってしまった。
そして、生活魔術科の生徒たち3人は予算確保のために動き出す。
目指せダンジョン、目的は金策なり!
小説紹介
著者は、丘野 境界(おかの きょうかい)様。
小説家になろうで、2015年7月に発表された短編です。
書籍は宝島社より発行。
内容は発表済みの短編(加筆修正あり)+続き。
著者様によると、4分の3……5分の4くらい書下ろしとのこと。
生活魔術師達シリーズとして、以下の作品が発売されています。
- 生活魔術師達、ダンジョンに挑む
- 生活魔術師達、海底神殿に挑む
- 生活魔術師達、天空神殿に挑む
- 生活魔術師達、世界樹に挑む
また、コミック版が2019年4月に宝島社より発売されていて、作画は、川上 ちまき様。
思い出
こちらの作品、「懐かしのなろう小説カテゴリー」として書こうと思った作品でした。
久々に検索をかけてみたら、書籍化&コミカライズされているではありませんか。
短編の続きが読めて、しかも長編になっていたとは、いやぁ感慨深い。
2015年7月に短編が発表されて、書籍の発売が2018年3月。
約3年越しの続編発表で嬉しい限りです(今まで知らなかったけど(白目))
これは紹介せねばと思いました。
後述する内容は、小説家になろうにある短編の内容で書き出しております。
登場人物
生活魔術科メンバー
セミロングの温和そうな顔立ちの少女、二年生。
影人(シャドウ)を使い魔としていて、影や人形を触媒として霊的存在を使役できる。
彼女一人が入れば、人手が増えるため重宝されている。
狐耳狐尻尾で狐面を付けている、狐獣人の少女、二年生。
時空魔術にあたる生活魔術「収納術」をメインに使用している。
収納術は、亜空間にいくらでも物を入れられ、重さも関係なく便利。
ボサボサに伸びた黒髪で、やる気のなさが全身から漂っている少年、二年生。
面倒くさがりなのに、せっかち、食に一番うるさい。
料理や掃除の魔術は使えるが、攻撃系は覚えてない。
大抵の雑務は魔術でできるので、色々なところで手伝いをしている。
科長(教師)
生活魔術科をまとめる教師であり科長、ふわふわとした髪の女性魔術師。
生徒・教師から呼ばれる呼び名は「カー先生」
戦闘科をまとめる教師であり科長。中年の男性魔術師。
生徒・教師から呼ばれる呼び名は「オッシ先生」
生活魔術科とは?
日常生活に役立つ魔術=生活魔術を研究開発する科。
生活魔術科をあらわすローブの色は草色。
生活魔術科の活動
学院内で実習として行っている活動。
たいした実績ではないので、なくても構いませんね(笑顔)
昼休み限定で生活魔術科が開いている食堂。
予算がなくなったため、即日閉鎖。
ソーコの「収納術」を利用して様々な科の機材を預かっている。
予算会議において、どの科も生活魔術科のフォローをしなかったので、全部返却した。
大抵のことをこなせるケニーの魔術がメイン。
たとえば、戦闘科の傷の治療・道具の修復、召喚科や呪術科の儀式の準備など。
準備に時間や手間がかかるようになるだけで、ケニーがしなくても問題ないので、全部断った。
リオンの使い魔たちによる人手の提供。
各科の準備作業などで活躍していたが、リオンが金策に出かけたため使用不能。
ソーコの時空魔術で、演習場・教室・ロッカールームなどなど、本来の空間を数十倍に拡張している。
当然のことながら全部解除。
内容
戦闘科にほとんどの予算を奪われた、生活魔術科。
生徒3人は、金策のためにエムロード冒険者互助組合支部(ギルド)へ向かう。
ギルドで冒険者登録を済ませ、ダンジョンの案内人(ガイド)を雇い、「試練の迷宮」と呼ばれるダンジョンへ。
生活魔術があればダンジョン内でも、ゆったりとキャンプができる。
案内人(ガイド)が驚くほどの快適さ。
案内人(ガイド)がモンスターを倒すのを見て、3人それぞれがアイデアを出し合い、協力して戦い方を模索していく。
案内人(ガイド)との契約が終わり、3日後。
ついに、3人だけでダンジョンに挑む。
そのころ魔術院では、生活魔術科ボイコット1日目にして、院全体が丸一日活動不能になる事態が起こっていた――。
感想
戦闘科ざまあwな、お話です。
ないがしろにされた方はダメージが少なくて、ないがしろにした方がダメージが大きい。
オチも「とどめの一撃」という感じで、読者の心をスッキリさせてくれます。
理不尽な現実だから、創作の中に清涼感を求めてしまうのは致し方ないんですよ。
ファンタジーものではありますが、難しい言葉は使っていないので、とても読みやすいです。
裏方の人は表に出てこないけど、とても頑張ってくれています。
たとえば、今使っている電気とか。
毎日陰ながら私たちの生活を支えてくれている人々に感謝!
そんな気持ちを思い出させてくれる作品です。

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