ここでは、小説紹介をするときに使用する用語について解説しています。
「婚約破棄」とは、結婚を約束していた二人が、片方の一方的な都合で約束を取り消すことです。
概要
ここでいう婚約破棄とは、現実の婚約(婚姻予約)の破棄ではなく、
主に「小説家になろう」で使用されている、創作としての「婚約破棄」を差します。
婚約している二人のうち、一方から一方へ婚約の取り消しを申し出ることです。
この「一方から一方へ、婚約の取り消しを申し出る」という題材を使用した作品を「婚約破棄もの」と呼んでいます。
作品の傾向
ファンタジー作品で多くみられますが、現実世界を題材とした作品もあります。
小説家になろうでは、男性側から女性側へ一方的に「お前との婚約を破棄する!」と宣言した結果、女性側が男性側に一泡吹かせるといった作品の比率が高くなっています。
身分制度の使用
身分が上の者から身分が下の者に、一方的に婚約破棄を宣言する手法が多く取られています。
ファンタジー作品での使用例
- 王族から貴族への宣言(貴族は王族に仕えるものという考え方を使用)
- 高位貴族から下位貴族への宣言(公爵から男爵など)
- 貴族から平民への宣言
- 上位平民から下位平民への宣言(村長一族から村民など)
現実世界作品での使用例
- 社長子息または令嬢から一般社員への宣言
- 本家から分家への宣言
婚約破棄をするシチュエーション
二人きりの場所で申し出る場合
婚約破棄を宣言した瞬間に騒動が起こることは少なく、宣言後に何らかの形で話しが動き出します。
不特定多数がいる場所で申し出る場合
婚約を宣言した瞬間に何らかの騒動が起こります。
作品の傾向欄で前述した、男性側から女性側へ一方的に「お前との婚約を破棄する!」と宣言する手法は、このシチュエーションで多く使われます。
第三者から婚約破棄を伝える場合
その場では穏便に済む場合と、その場で騒動が起こる場合、後々の話しの展開によって異なります。
使用ジャンル
様々なジャンルの題材として使用できます。
後述する例はあくまで一例にすぎず、人間の想像力が無限の可能性を持っている限り、新たな婚約破棄が生まれることでしょう。
シリアスでの使用例
- 悲嘆にくれる婚約破棄をされた側に、新たにお相手が現れてハッピーエンド。
- 無実の罪を着せられて婚約破棄をされた側が、真犯人を暴く勧善懲悪エンド。
- 婚約破棄をした側が後悔しながらも、未来に進むサッドエンド。
- 婚約破棄にかかわるすべての登場人物が不幸になるバッドエンド。
コメディーでの使用例
- 不特定多数の前で婚約破棄宣言をし、周囲から矛盾をツッコまれ、丸く収まるハッピーエンド。
- まったく関係のない第三者が邪魔をして、宣言自体ができない、話しが始まらないエンド。
- 婚約破棄をされた側が、もともと婚約破棄をしたかったラッキーエンド。
- 婚約破棄をした側が、された側に逆に婚約破棄をされる、逆転エンド。
そのほかの使用例
- 婚約破棄を宣言する場に、魔獣または魔王が現れて戦いが始まる、アクションもの。
- 王族や貴族を招いた会場で婚約破棄を行うこと自体がおとりで、その裏で国を揺るがす陰謀が渦巻いているという陰謀もの。
- 婚約破棄により宇宙空間にゆがみが生じるSFもの。
系統
小説家になろうは、誰もが簡単に創作小説を投稿することができます。
おもしろい作品を読んで、創作意欲を刺激された読者が、書き手側に回ることも多々あります。
そのため、人気作品が使っている題材に類似した作品が増えやすいです。
今日の読み手は、明日の書き手。
婚約を破棄される側が何らかの罪を犯していて、婚約を破棄する側が罪をあばく。
婚約を破棄する側が正義、婚約を破棄される側が悪として描かれる。
「ざまあ」とは、ざまあみろの略語。この言葉の意味は人の失敗を罵ること、あざ笑うことである。
ざまあ系は、断罪系に対抗する性質をもつ。
断罪系と同様に、婚約を破棄する側が、婚約を破棄される側に罪を突き付ける。
しかし、実際はその罪自体が間違っている。
つまり、婚約を破棄される側が、婚約を破棄する側を、言い負かす、もしくは行動で黙らせることができる。
痛快な物語が描きやすいのが特徴。
【オススメ作品】
誰でも書ける! 婚約破棄!
因果応報とは、仏教用語で、善い行いには善い結果が、悪い行いには悪い結果がもたらされるという意味である。
因果応報系は、ざまあ系に近い性質を持つ。
登場人物の行動が、未来を左右するのが特徴であり、物語内で、ある程度の時間経過が必要になる。
婚約を破棄された側が、それを転機にして、新たな道に踏み出す。
婚約を破棄した側のことは、過去のこととなり、物語上での影が薄くなりやすい。
【オススメ作品】
魔導具師ダリヤはうつむかない
婚約破棄の当事者でない人間が、物語の主軸となるもの。
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