ここでは、小説紹介をするときに使用する用語について解説しています。
悪役令嬢とは、乙女ゲーム(複数の男性との恋愛を楽しむシミュレーションゲーム)においてのライバル役女性のことです。
概要
ここでいう悪役令嬢とは、現実の乙女ゲームのライバル役女性のことではなく、主に「小説家になろう」で使用されている、創作としての悪役令嬢を差します。
現実の商用乙女ゲームには、悪役令嬢は存在しません。
そのため悪役令嬢は、現実の乙女ゲーム愛好家からは、賛否が分かれる存在となっているので、ご注意ください。
悪役令嬢が生まれたわけ
悪役令嬢は、最初はただの女性ライバルでした。
乙女ゲームの女性主人公は、男性キャラクターにアプローチをして、結ばれようとします。
しかし、すんなりと結ばれてしまっては、ゲームとして面白みがありません。
そこで女性ライバルが登場することになります。
女性ライバルは、主人公と男性キャラクターとの恋を邪魔する役割を与えられます。
邪魔が入ることで、主人公と男性キャラクターの絆は深まり、物語はより一層ドラマティックになっていきます。
創作としての乙女ゲームの妨害の仕方は、マンガの表現が色濃く出ています。
マンガの方が、より過激な表現が許されているためです。
女性ライバルが使う手段は様々です。
主人公の悪い噂を広めたり、所持品を壊したり。
取り巻きと呼ばれる友人たちと、主人公を責め立て、心を折ろうとすることも。
階段から突き落とそうとしたり、ならず者に襲わせようとしたり。
あげくの果てには、暗殺しようとしたりします。
そう、物語を盛り上げるために、著者は女性ライバルの行動をどんどんエスカレートさせていくわけです。
そうすれば、女性ライバルが主人公に敗北したときに、惨めさが増し、主人公がより光り輝きます。
いつしか女性ライバルは、行動の悪辣さから「悪役」と呼ばれます。
「令嬢」は、乙女ゲームの女性ライバルは、良家のお嬢様という設定が多かったためです。
語呂の良さもあるでしょう。
こうして「悪役令嬢」は生まれました。
悪役令嬢の独り立ち
かつては、乙女ゲームの女性主人公の引き立て役だった悪役令嬢。
しかしそのキャラクター性の濃さから、悪役令嬢自身にスポットライトが当たり始めました。
悪役令嬢が主役となるときが来たのです。
あるときは、主人公を完膚なきまでに叩きのめし。
あるときは、裏社会を牛耳り。
あるときは、勇者そっちのけで魔王を倒す。
キャラクターとしての「悪役令嬢」の確立です。
悪役令嬢を主役にした物語は、「悪役令嬢もの」と呼ばれるようになりました。
もはや、「悪役令嬢」は物語上の主役・脇役の関係にとらわれない、ポジション名となっています。
これは乙女ゲームの女性主人公をヒロインと呼ぶことに由来しています。
物語の主役ではなくても「ヒロイン」、逆ハーレムにいる男性陣の権力を使って、極悪非道なことをしていても「ヒロイン」です。
こちらも、「悪役令嬢」と同様に、物語上の主役・脇役の関係にとらわれない、ポジション名となっています。
容姿
昔
乙女ゲームの主人公(以下、ゲーム主人公)は、十代の女の子が多いことから、同じく十代の女の子。
やや釣り目で、きつめの美人。
髪型は昔の少女漫画の令嬢がしていたような、ドリルと表現される縦髪ロールをしています。
完璧な礼儀作法を身に付けており、言葉遣いや身のこなしも優雅です。
恋のライバル役にふさわしく、ゲーム主人公以上の美貌をもっています。
今
美人というのは変わりません。
縦髪ロールという髪型は、悪役令嬢というキャラクターが独り立ちし始めると、少なくなりました。
完璧な礼儀作法、優雅な言葉遣いや身のこなしをしているという設定は、そのまま残っている作品が多いです。
しかし、その裏で冒険者として大暴れしているというような、破天荒っぷりが付与されるようになりました。
ギャップが面白いですからね。
性格
昔
気が強く、ゲーム主人公に強く当たります。
ライバル役なので当然です。
その一方で、勉学や礼儀作法に打ち込み、自分を磨くことを怠らない、真面目さを持ちます。
今
性格は多様化しました。
気が強いどころか、引きこもりの人間不信とかもあります。
どれだけオリジナリティを出せるのか、読者の度肝を抜く行動をさせられるのか。
なにせ悪役令嬢は「主役」なのです。
物語は主役のための舞台。
悪役令嬢が生き生きとしていればしているほど、読者は自然と物語に引き込まれていきます。
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